BCP策定

美容室が考える業務縮小と変更

美容室が取り組むBCP対策 業務縮小と変更

新型コロナウイルスが再び流行の兆しを見せています。
東京など都市部から、徐々に国内全域へと拡大しています。

4月から5月の緊急事態宣言以降、客数を減らし対応をしてきた美容室も多いことでしょう。
しかし、再び自粛ムードとなれば、さらにお客様が減ることを危惧されている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

withコロナの時代、これまで通りの店舗営業で成果を上げていくのはまだまだ先の話になってしまいそうです。
新型コロナウイルスが完全に終息、あるいはワクチンの普及で完全に鎮静化できるのを待っている間に経営破綻してしまっては意味がありません。

リスクを少しでも回避するために、今できる美容室の第2波、第3派を見据えたリスク管理方法をBCP対策の観点に沿ってまとめました。
新型コロナウイルスが仮に終息しても、パンデミックを想定したBCP対策の一部としてもとらえることができます。

BCPの観点で行う業務のオンライン化

オンラインでヘアカラー診断

オンラインでヘアカラー診断
髪を染めたいけど、ウイルス感染リスクを恐れて外出しづらい、という方に有効なのが、オンラインヘアカラー診断のサービスです。

前回ヘアカラーを施した方が再訪されるタイミングを迎えていても、美容室に行けない。
これを機に、美容室に長時間滞在する必要のない自宅でのセルフヘアカラーに切り替えたという方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
実際に、ドラッグストアなどの売り上げ推移において、3~5月はセルフカラー剤の売り上げが前期と比較し好調だったというデータがあります。

しかし、セルフカラー剤を自分で選ぶ際に悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
どれくらいの発色なのか、髪へのダメージはどれくらいなのか、できるだけムラなく染める方法が知りたい、そしてなにより、この色は自分に似合うのか、など。

本来、そうした悩みを美容師というプロに委ねることで解決していたのに、委ねられない状況がふたたび訪れようとしています。
そうした状況を解決するためにオンラインでのヘアカラー診断を行うことは、お客様にとって非常にメリットのあるサービスであると考えられます。
実際に、緊急事態宣言下のフランスにおいて、SkypeやZoomなどのオンラインツールを使用しヘアカラー診断を行ったところ、対面での接客に売り上げは及ばないものの、非常に好評であったと報じるニュースもありました。

自分が通いなれている美容室からヘアカラー診断をしてもらうことで、お客様は安心してセルフカラーを行うことができます。
また、来店できなくてもお客様がどのような処置を施したのか、美容師が把握できることで、次回サービスを提供する際もスムーズにアドバイスができることから、店舗としてもメリットのあるサービスだといえるでしょう。

美容師として、市販のヘアカラー剤はダメージも大きく、推奨できないという方も多くいらっしゃるかと思います。
その場合、カウンセリングサービスの一環として店舗からケア剤を発送するなど、ただの診断だけでは終わらないように努めます。
継続的にお客様とつながっていることで、いつになるかわかりませんが、コロナ終息後の来店を促すことも可能です。

オンラインショップ

オンラインショップ
オンラインショップと聞くと、ハードルが高そうだと思うかもしれません。
しかし、最近は気軽に自分の店をインターネット上に持つことができるサービスが充実しています。
オンラインヘアカラー診断で送付したケア剤などを気に入っていただけた場合、継続的な利用を希望されるケースもあるでしょう。
そうした際に、オンラインで購入できるサービスが整っているとお客様も利用しやすく、店舗としてもわずかではありますが、お客様の来店なしに収益を上げることができます。

また、今は来店できないけれど将来的に施術を受けたい、と考えているお客様のために、回数券を発売する美容室も増えています。
仮に再び外出自粛になったとしても、売り上げをいくらかあげられるという点で考えておくべき仕組みです。

対面施術におけるBCP対策

時短なども活用して

「オンラインツールは難しくてわからない」「ちょっと抵抗がある」というお客様は、特にご高齢のお客様に多いかもしれません。
また、ご夫婦2人で経営されているなど、少人数での経営をされている美容室にとっては、そうした時間を割けないのが現実ではないでしょうか。

あくまでも、オンラインツールは一つの手段です。
直接対面しないことでお客様も、美容師側も感染リスクを減らすことができるという点で有効ですが、そもそもツールをうまく使えず時間が過ぎていくだけでは意味がありません。

直接対面しての施術を行う場合には、時短メニューを取り入れてみるのもよいでしょう。
女性の場合は特にカットとカラーやパーマなど、複数のメニューを同日に施術する場合が多いのではないでしょうか。

時短メニューは、1回につき1メニューのみの提供、事前カウンセリングを済ませたうえで当日は従来よりも短い時間の施術提供を行うスタイルです。
根元のカラーが気になる、前髪だけカットしたい、など、これまで美容室来訪のついでに解消していたお悩みを、時短を売りにしたメニューで提供します。

また、在店時間が短いことでお客様、美容師双方の負担を軽減できます。
一人のお客様にかかる時間を減らすことで店舗の回転率アップにもつながり、一度の予約数を減らした美容室でも一定の売り上げ効果が見込めます。
予約時にある程度のカウンセリングを済ませておくことで、密接な距離での会話を減らし、感染リスクが抑えられ、施術時間を減らせるのも大きなポイントです。

まとめ

ご紹介した施策はほんの一部ですが、感染症拡大時のBCPでいう「業務の取捨選択」に該当します。
感染症拡大時は、地震などの自然災害と違いインフラにはほとんどダメージを受けないため、いかに業務を継続するかを考えることがポイントです。
感染リスク、経営ダメージ、社会的責任など多角的に業務をとらえ、本当に必要な業務が何かを取捨選択します。
その際、こうした代替手段を選ぶ準備をしておくだけで、緊急時の経営に大きな差が出てきます。

BCPは緊急事態に備えた企業の対策です。
withコロナと呼ばれるこの時代がいつまで続くか、まだ見通しが立っていません。
今のうちに、できることから長期的な対策を考えてみましょう。