【お役立ちニュース】「光触媒」が新たな新型コロナウイルス対策の一手となるか

「光触媒」と新型コロナウイルスに関する実験の結果が相次いで発表されました。
いずれも、光触媒が新型コロナウイルスの感染力を不活化させる効果があったとしています。

残念ながら現段階では試験環境での実験であるため、実生活環境での効果は認められていません。
しかし、新型コロナウイルス対策をより強固なものにするプラスアルファの対策として、重要な一手を担いそうです。

光触媒とは？

触媒とは、自分自身は変化しないが、他の物質の化学反応の速度を変化させる物質のことです。
特に、光が当たったときにこうした働きをするものを「光触媒」と呼び、代表的な物質とされるのが酸化チタンです。
接触したにおい成分、有害物質などを強力に酸化分解する性質を持っています。

東京工業大学・奈良県立医科大学・神奈川県立産業技術総合研究所からなる研究グループは、可視光応答型光触媒（※）が新型コロナウイルスの不活化に効果を発揮することを確認しました。

（※）可視光応答型光触媒
紫外線などの不可視光線だけではなく、室内灯など人の目に見える光（＝可視光）にも反応する光触媒のこと。
屋内照明下でも光触媒としての効果を得られる。

安全キャビネット内に設置した試験片に対して培養した新型コロナウイルスを接種。
1000ルクス（室内で勉強や読書をする際に推奨される明るさ）の白色蛍光灯を照射したところ、1時間に99.7％、2時間で99.99％以上のウイルス量が減少したとのことです。

大阪の電機メーカー「カルテック」が、光触媒を用いて新型コロナウイルスの感染力を不活化させる効果が確認できたと発表しました。
理化学研究所の協力を受け、日本大学医学部と共同で行った実験の結果を発表しています。

実験は、光触媒である酸化チタンを使って作られたフィルターを搭載した除菌脱臭機を用いて行われました。

結果を抜粋すると、120リットルサイズの空間においては約13分で浮遊する新型コロナウイルスが99%不活化、20分で検出できないほどの数値になったとしています。
なお、この実験は日本大学内の施設（バイオセーフティレベル3）にて行われているため、実使用環境での効果を示すものではないといいます。

日本ペイントHDは、可視光応答型光触媒を含む水性塗料（試験用）の表面に接触させた新型コロナウイルスが不活化したと発表しました。

水性塗料を塗布した試験片に新型コロナウイルスを含むウイルス液を接種し、カバーをかけたうえで蛍光灯を照射したところ、12時間後、新型コロナウイルスは99%以上減少したそうです。
水性塗料に関する実験も現在は試験環境で行われた結果であるため、実使用環境での効果を示すものではありません。

カルテック、日本ペイントHDの実験は、現段階では実環境での効果を示すものではありません。
しかしながら、新型コロナウイルス対策を強化し、より安心して過ごせる店舗を作る技術として非常に期待が持てるものです。

特に、塗布するなどして活用できた場合、アルコールや次亜塩素酸水によるふき取りの作業を軽減できる可能性があります。
また、より持続的なウイルス不活化効果が見込めるため、メンテナンスや衛生環境維持の手間を減らす効果も期待されます。

光触媒が酸化分解してウイルスを不活化させるように、オゾンもまた、オゾン原子が有害物質と結びついて酸化分解を行います。

オゾンはすでに、人体に有害でない量でも新型コロナウイルスに対する不活化効果が確認されています。
店舗の営業中でもオゾンを常時発生させ、空間内の衛生状況を良好に保つことができます。
密になりがちな環境にはより効果を発揮すると考えられています。