11月、東京・代々木体育館で行われた体操の世界大会。
延期となった東京オリンピックを開催するための試金石として世界中から注目を集めていました。
しかし、思わぬ形で注目を集めることになってしまったのが、その大会での新型コロナ対策。
会場の入り口で、「除菌液」を人体に向かって噴射していたことがわかり、専門家からの指摘が相次いでいるといいます。
店舗でも「入り口で除菌液(次亜塩素酸水やそれに準ずるものなど)を噴霧しているので安心です」と謳っているところが多いのではないでしょうか。
実は、国際的にも除菌液の噴霧は推奨されていません。
何が問題なのか、やるべきことは何か、WHOや国の見解も交えながら見ていきます。
人体・人がいる空間での噴霧はNG
先述の通り、ここで問題になっているのは「人体に対して消毒剤とされるものを噴霧した」ということです。
この体操の大会に限らず、11月の3連休で実施された「スペインフェスタ」などでも、入り口で消毒液を噴霧されるゲートを通る必要があったようです。
このように、イベントを中心に広がっている「噴霧されている消毒液を浴びる」ことは、WHO並びに厚生労働省も推奨していません。
WHOの見解
WHOによる見解は以下の通りです。(意訳、抜粋)
・室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の噴霧や燻蒸をすることは推奨しない
・屋外においてもウイルスの殺菌目的で消毒剤を空間噴霧、燻蒸することは推奨しない
・消毒剤を個室などで人体に対して空間噴霧することはいかなる状況であっても推奨されない
同様に、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)は、「医療施設における消毒・滅菌に関するガイドライン」の中で『消毒剤の(空間)噴霧は、空気や環境表面の除染方法としては不十分であり、日常的な患者ケア区域における一般的な感染管理として推奨しない』と記載しています。
厚生労働省の見解
日本の厚生労働省もWHOとほぼ同様の見解を出しています。
「人がいる環境に、消毒や除菌効果を謳う商品を空間噴霧して使用することは、眼、皮膚への付着や吸入による健康影響のおそれがあることから推奨されていません。」
(厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ 4.空気中のウイルス対策 より抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
その他、次亜塩素酸水など一般的に「除菌水」とされる項目の注意事項に「目に入ったり、皮膚についたりしないように注意してください」「飲み込んだり、吸い込んだりしないようにしてください」と記載があります。
人体に対してこれらの液体を噴霧することは、まさに目に入る、皮膚につく、飲み込む、吸い込む恐れがあるため危険である、ということは明らかです。
専門家も警鐘を鳴らす空間噴霧
感染症の専門医も除菌水の空間噴霧に警鐘を鳴らしています。
人体に影響があるばかりか、その効果について科学的根拠がない、としています。
例えば、次亜塩素酸水を用いてモノの表面についたウイルスを除菌するやり方を確認しましょう。
まず、対象を次亜塩素酸水でひたひたになるまで濡らします。
20秒ほどその状態で放置し、きれいな布やペーパーでふき取ることでその効果を得られます。
ムラなくひたひたの状態にすること、ふき取ることでその効果を得られるのに、空間に噴霧しただけではムラがあり、もちろんふき取ることもできません。
リスクあり、効果なしと考えられる除菌水の噴霧については、考え直したほうがよさそうです。
空間噴霧がお客様を遠ざける?
オズモールの調査によると、美容室利用の際に気をつけたいこととして「事前に美容室の感染対策をチェックする」と答えた人が多数いることがわかりました。
自店の各種SNSを使って、これまでの感染対策を発信している方も多いのではないでしょうか。
こうした行動をとる人ほど、正しい感染対策について調べ、その知識を持っています。
春の緊急事態宣言のころと比較し、新型コロナウイルスに対してわかってきていること、発表されていることも多いことから、何が正しい・正しくないの判断をしやすい状況になっています。
各機関の推奨する正しい感染対策を行っている、と発信することが、選ばれる美容室として重要な要素であることは間違いありません。
今一度、正しい感染対策について確認をしましょう。
正しい感染対策は?
言うまでもなく、基本の感染症対策を行うことが何よりも重要です。
・3密を避ける
換気をする、人との距離を保つ、近くで会話など飛沫が飛ぶ行為をしない
・手指消毒
石鹸による正しい手洗い、できない場合はアルコールによる消毒
・咳エチケット
マスクをする、手で口を抑えない
2020年、幾度となく聞いたこれらの対策を、まずは徹底することが大切です。
それに加えて、プラスアルファの施策を導入できるようであれば検討してみるとよいでしょう。
特にオゾンは、各自治体のコロナ対策補助金・助成金の対象となっている場合も多く、その効果に期待が集まっています。
もとより、救急車車内の除菌装置として導入されており、コロナ以前からウイルスに対する不活化効果が生活に役立てられていました。
新型コロナウイルスに対しては、国内の大学にて人体に影響がない低濃度のオゾンで新型コロナウイルスを不活化させるという実験結果を得られています。
基本の対策にプラスできる強固な策として、検討してみてはいかがでしょうか。
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参考
・除菌液のミストシャワー、「健康に害も」「人体への噴霧は不適切」体操大会の感染対策に厚労省や保健所が苦言(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/tokyo-gymnastics-competition-covid-19
・フィエスタ・デ・エスパーニャ
http://www.spainfes.com/
・安心して通うために。感染症対策をしているヘアサロンを選ぼう(OZmall)
https://www.ozmall.co.jp/hairsalon/feature/24673/