除菌・消毒

リスクを知ってしっかり対策!歯科医院の除菌・消毒マニュアル

リスクを知ってしっかり対策!歯科医院の消毒マニュアル

新型コロナウイルスの流行で、歯科業界も大きな影響を受けていることと思います。

特に、手袋や器具を介しているとは言え、患者さんの口腔内に触れる、リスクが高い業務も頻発します。
ともすると患者はもちろん、スタッフも感染に対する不安を抱いているのではないでしょうか。

経営者として、スタッフからは具体的な対策と迅速な指示が求められています。
院内感染への不安を払しょくし、安心安全な医院運営ができるようにしましょう。

歯科が取り組むべき 院内感染対策のための除菌・消毒

院内感染を防ぐために

現在、厚生労働省や関連学会から院内感染対策指針が発表されています。
2020年4月6日に厚生労働省から発表された「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」には、

1.標準予防策の徹底
2.接触・飛沫それぞれの感染経路に対する予防策

について言及がありました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

標準予防策とは、2019年3月29日に厚生労働省より発表されている
『一般歯科診療時の院内感染対策に係る指針 第2版』(以下『標準予防策』と表記)に準拠し、必要な対策を正しく行うよう、改めて周知されています。

本指針自体は新型コロナウイルス流行以前に策定されたものですが、感染症対策として基本的なことが網羅されています。
今更、と思うかもしれませんが、今一度ご確認ください。

接触・飛沫それぞれの感染経路に対する予防策は、関連学会で対応方針が発表されています。
この中でも特に接触感染対策としての消毒に焦点を当て、歯科医院で行うべきことを確認していきます。

withコロナ時代の歯科に必要な消毒

3つの消毒を正しく行う

3つの消毒を正しく行う

日本歯科医学会連合では、「コロナ時代の新たな歯科診療を」と題し、具体的な対策方法が提言されています。
その中で消毒に関連する事柄は、大きく3つに分けられます。

1.来院者の手指消毒
2.医療機器の消毒
3.院内設備の消毒

来院者の手指消毒は、あらゆる商業施設で入店時に行われているアルコール消毒液の設置で対応できるでしょう。
患者に限らず、病院に出入りのある業者にも対応を徹底してもらうよう呼びかけます。
患者には来院時のみならず、お手洗いや待合室にもアルコール消毒液を設置し、こまめな手指消毒を呼びかけます。

医療器具の消毒は、新型コロナウイルス流行にかかわらず感染症対策で日常的に取り組んできた項目だとは思いますが、改めてその確実性を確認しましょう。
オートクレーブなど、各医院で使用している滅菌用機材を使用方法に従って正しく活用してください。
また、印象材はその素材によって口腔内微生物の付着しやすさが異なるため、使用している素材ごとに注意が必要です。

院内設備の消毒

院内設備の消毒
新型コロナウイルス対応で新たに対応が必要なのは、院内設備の消毒です。
実施にあたり、まずは高頻度接触個所をリストアップしましょう。

接触感染リスクが高い待合室を中心に、歯科用ユニットや診察室のドアノブ、お手洗いなど、不特定多数が接触する可能性のあるものはすべてピックアップします。
患者さんは触れませんが、電子カルテやレセプトコンピュータなども複数のスタッフが触る可能性があるため、消毒の対象です。
これらを接触頻度等でレベル分けするのもよいでしょう。

少なくとも診療開始前、診療中、診療後の1日3回、すべての場所を次項で紹介する「新型コロナウイルスに対して有効な薬剤」が含まれたダスター等で拭き上げ清掃します。
先述の『標準予防策』に従うのであれば、歯科用ユニットなどは、患者さん毎に清拭を行うのが望ましいとされています。

また、多くの場合歯科助手に施設内の消毒を指示すると思います。
消毒対応時は必ずグローブ、マスク、ゴーグル等の個人防護具(PPE)を着用するようにしてください。
PPEを取り外す際は、つけていたもので環境を汚染しないように適切に取り外し、破棄することを必ず指示してください。

有効な薬剤

ものに付着した新型コロナウイルスに有効な薬剤が、厚生労働省HPで一般向けに公開されています。
待合室など、臨床しない一般的な場所は、医療現場に適切な消毒用品を届ける観点からも、以下の対策が適切です。

熱水

80℃以上の熱水に10分間さらす

塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)

家庭用漂白剤を次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%になるように希釈し拭く
その後、水拭きをする

界面活性剤を含む洗剤

1)家具用洗剤の場合:そのまま使用
2)台所用洗剤の場合:薄めて使用

次亜塩素酸水

有効塩素濃度80ppm以上のものを使用し、消毒したいものをたっぷりの次亜塩素酸水で浸した後、20秒以上おいてきれいな布等でふき取る

※次亜塩素酸ナトリウムとは異なります。
※次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めただけでは次亜塩素酸水にはなりません。
※使用前に消毒するものの汚れを落としておきましょう。

アルコール

 
濃度70%以上95%以下のエタノールを用いてふき取ります。
(出典:厚生労働省HP 『新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)』より抜粋)

次亜塩素酸ナトリウムは金属製のものが錆びる可能性がありますので、金属製のものには水拭きまたはそのほかの有効とされている薬剤を用いて清拭を行うのがよいでしょう。
また、有効な界面活性剤の詳細は厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページや、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の有効な界面活性剤が含まれる製品リスト)をご確認ください。

まとめ

まとめ

・標準予防策を徹底する
・院内のリスクを認識する
・適切な方法で消毒する

具体的な対応方針が明示されているとスタッフの安心、来院者の安心につながります。
感染リスクが高いと思われがちな歯科診療だからこそ、安心材料が多いに越したことはありません。

安心の積み重ねは信用につながります。
正しくリスクを認識し、一つでも多く安心材料を持てる歯科運営を行っていきましょう。

弱酸性次亜塩素酸水シックシャット