C Space Japanは、企業やブランドを対象とした顧客体験価値(以下CX)ランキング2020を発表しました。
※顧客体験価値(Customer EXperience)とは
顧客が製品・サービスと接触し興味を持った時点から、購入して利用し続けるまでのすべての企業との接点(顧客接点)と、それらに基づき顧客が企業に対してもつ評価。
単なるその場のサービスだけにとどまらず、欲しいと思う製品やサービスに対して検索エンジンで企業サイトを調べ、SNSや比較サイトで口コミを調べ、チャットで問い合わせをする、商品購入の場合は配送のサービスのきめ細やかさなど、あらゆる「顧客としての体験」を評価する仕組み。
(salesforce.com「新しい時代の顧客体験とは」より一部引用)
調査方法は以下の通り。
1) 一般消費者に「顧客の気持ちや求めることを理解している/していないブランド、企業をそれぞれ思い浮かべてもらう
2) それらのブランドのを「顧客が求める体験価値の5要素(※)」を具体的な項目に分解
3) 数値化し評価
(※)顧客が求める体験価値の5要素
・私向けのものだと思える
・私にとって意味がある
・オープンで正直である
・私の立場で考えてくれる
・いい気分にさせてくれる
2020年の1位はディズニー、2位はくら寿司。
オーケー、ヨドバシカメラ、コメダ珈琲店、ヨドバシカメラと続きます。
2019年のランキングとはかなりブランド・企業名が異なります。
その原因を紐解くと、コロナ禍における対応がCXの向上に関連があるのではないか、と考えることができるのです。
新型コロナがCXランキングに与えた影響
ディズニーはディズニーリゾート、映像作品など様々なディズニーブランドを指すものです。
もともとブランド力としては他に類を見ない強さを持っていますが、ディズニーリゾートの臨時休園を経て、よりその強さを確固たるものにしました。
もちろん、一貫したカスタマーファースト、顧客を楽しませる姿勢がCXを向上させているのは間違いありません。
2020年はそれに加えてディズニーリゾートにおける様々な感染防止対策がCXの向上に一役買っているといいます。
2位のくら寿司は、「withコロナ時代のニーズをいち早くとらえ、持ち帰りや宅配、店舗での感染防止対策を徹底したことが躍進の理由」(プレスリリースより引用)。
今や当たり前となっているテイクアウトも含めたコロナ対策にいち早く取り組んだことで、顧客に安心、正直、というプラスの印象をもたらしたと考えられます。
ほか、ヨドバシカメラ、コメダ珈琲店、ユニクロと続きますが、いずれも「withコロナ対応を素早く行った・ニーズに応えた企業」がランキング上位に名を連ねています。
美容室が考えるコロナ禍のCX向上
ここまで出てきた企業・ブランドはどれも大企業が展開する全国的な知名度を持ったもの。
地域に根差した美容室には関係ない…と思いきや、そんなことは有りません。
美容室こそ、CXは重要な評価指標です。
たとえ誰かに数値化されなかったとしても、顧客の潜在的な評価が集客・利益に直結します。
顧客の動向
オズモールの調査によると、美容室利用の際に気をつけたいこととして
・美容室に行く頻度を減らす
・1回の訪問でまとめてケア
・お店の感染症対策を事前にチェックする
・所要時間の短いメニューを選ぶ
・自宅近くなど通いやすいエリアを選ぶ
が挙げられています。
一部項目同士で相反するものもありますが、傾向として見えてくるのはできるだけ感染防止対策を顧客自身がとる傾向にあること。
美容室に「行くこと」よりも、その「選択」により慎重になっている様子がうかがえます。
言い換えると、上記が「withコロナ時代の顧客のニーズ」であり、これらを多く満たしていることが店舗の価値になるのです。
選択されないことが、のちのち店舗のリスクとなりうるのは言うまでもありません。
コロナ対策は基本を徹底
もはやどこの店舗でも、新型コロナウイルス感染拡大防止策は実施されているのが前提です。
しかし、うわべだけの「実施」になっていませんか?
特に、カウンセリングの際に言葉でコミュニケーションをする必要があると、マスクをついずらしてしまったり、外してしまう方もいるようです。
寒くなってきたことで換気をするのもおっくうになり、つい頻度を減らしてしまうなど、冬を迎えるにつれておろそかになりがちな対策もあります。
しかし、そうした基本の対策をおろそかにしたことで、新型コロナウイルス感染拡大第3波が到来したと考えてもおかしくありません。
手洗いうがい、マスクの着用、検温、換気、ソーシャルテディスタンスの確保など基本の対策は、これまで同様に継続していきましょう。
気の緩みはもってのほかですが、日々の営業におけるさりげない所作にも注意が必要です。
CX向上のためのもうひと手間 情報発信
やっていて当たり前のコロナ対策ですが、ただやっているだけではCXの向上につながりません。
積極的な情報の発信が、CX向上のカギを握ります。
美容業界の大きな特徴として、サービスの価値がお金を払うまで判断できないということが挙げられます。
それに加えて、前項に挙げたようなニーズを満たしているかどうかを判断できなければ、顧客は店舗の価値を評価する術がありません。
店舗のブログ、SNSなどで積極的な発信をされていますか?
一歩踏み込んだ感染対策の実施内容をお客様に伝えていますか?
感染対策のみならず、このコロナ禍だからこそ行っているメニューの情報などを発信することで、「選択」に慎重になっている顧客にアプローチすることができます。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大は、今や都市部だけの問題ではなくなりました。
とりうる対策をすべて行うことは他店との「差別化」のきっかけになり、新規顧客獲得のチャンスにもなり得ます。
同時に、いつ何が起こるかわからない、リスクだらけの時代における重要な対策であるともいえます。
今一度、店舗の対策について考え直してみるのも良いですね。
参考
・PR TIMES
「C Space Japan『顧客体験価値(CX)ランキングTM2020』日本「顧客体験価値」によるランキングTOP50を発表」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000000092.html
・OZmall「感染対策をしているヘアサロンを選ぼう」
https://www.ozmall.co.jp/hairsalon/feature/24673/
・SALONスターターPowerd by BEAUTY GARAGE「美容業界は非常識⁉業種の特徴から考えるサロン経営の課題と解決のヒント」
https://kaigyo.beautygarage.jp/archives/6326